発展形

年間約500件の新規事業計画書をレビューしているエムアウトが事業計画書の書き方を伝授します。


『発展形』の項では、一般的には事業ビジョンを実現するための達成ステップを記載していきます。

事業ビジョンとは、将来、事業をどのようにしたいのか、あるいはどんな会社にしたいのか、自分の会社・事業の将来像を言語化したものです。

事業ビジョンが大きいものであればあるほど、それを達成するためのステップがしっかりと定義されており、かつビジョンを達成する道筋として無理のないものを描けている必要があります。


具体的な事業計画書のイメージとしては、縦と横の2軸に要素を設定し、その上で3〜5段階程度で中身である各ステップを記載します。

各ステップには、事業を拡大していく上で経営上の重要な指標となる数字(Key Performance Indicator)など、できるだけ具体的な数字を記述します。
例えば、売上、会員数、店舗数などが挙げられます。

縦軸、横軸には様々な組み合わせパターンが考えられますが、ご自身の新規事業の将来的な広がりをイメージしやすいようなものを設定する必要があります。

例えばでいうと、以下のような組み合わせが挙げられます。

縦軸:サービス / 商品を提供する地理的な広がり
横軸:提供サービス・商品ラインの広がり

縦軸:流通チャネルの拡大(PC→モバイル等)
横軸:技術など外部環境の変化

縦軸:提供サービス・商品ラインの広がり
横軸:顧客層の広がり


また、新しい考え方の一つとして、我々エムアウトが提唱している「クロスビジネス」という考え方を適用することも考えられます。

これに近い考え方として、一般的に用いられるクロスセルという用語がありますが、クロスビジネスとは、この考え方をさらに発展させたものです。

クロスセルとは、ある商品の購入者に対して、その商品に関連する別の商品または組み合わせ商品を推奨し、顧客あたりの売上向上を目指す販売アプローチのことです。このアプローチは同じ顧客に、その顧客が望む商品を次々と提供するということですから顧客のニーズに基づいた販売手法であるといえます。

ただし、クロスセルのみだとやはり限界があります。
それは例えば、在宅医療を必要としている高齢者の方がいるとして、その方に訪問歯科診療サービスを提供している会社があったとしましょう。

この会社は、訪問診療サービスを提供することが本業ではありますが、関連サービス・商品として

・歯科医推奨の歯ブラシ
・歯磨き粉
・医師と連絡が取れるテレビ電話相談サービス

のように、「歯科」という自社の事業ドメインを超えない範囲内でクロスセルしていくことが考えられます。

しかし、顧客視点に立ったときには、せっかく信頼できる企業が家まで来てくれるわけですから、本当は以下のようなものも提供して欲しいという消費者心理も十分に想定できます。

・他の診療科も用意してもらいたい
・訪問理容サービス
・高齢者でも食べやすい柔らかい食事の提供
・より元気になれるようなリハビリサービス

これがクロスビジネスという考え方です。
つまり、自社の事業ドメインを一般的なビジネス領域で規定してその枠内で事業を展開するのではなく、顧客セグメントによってビジネス領域を規定することで、消費者ニーズに次々と応えていくというものです。


この考え方自体は、マーケットニーズに応えることで事業を拡大していくわけですから、理にかなったものであるといえますが、一方で、なんでもいいから顧客の要望に応えていくと、経営の効率性が落ちてしまって収益性を圧迫しかねません。

そのリスクを回避するためには、きちんとビジネスを設計した上で「応えるべきビジネス」「応えるべきではないビジネス」の選定をしっかりと行い、それを踏まえてクロスビジネスの考え方でビジネス展開の計画をたてていくことです。


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阿野武士


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